メモ帳
この部分、いずれ機会あるときにまとめていきたいとおもっています。今は何のまとまりもありません。
▼滝川一廣・佐藤幹夫『「こころ」はどこで壊れるか 精神医療の虚像と実像』(洋泉社)
■P.34:精神医学の分類
「あくまで人為的な線引きです。その意味で恣意的なもので、どんな分類の仕方も可能なわけです。」「分裂病も躁鬱病も、研究の進歩を待っていつかその原因が脳に見出されて晴れて外因性精神障害へと分類されるはずだというのが、伝統的な精神医学の要請となっています」
■P.49:「人格障害」、このデリカシーのないネーミング
■P.60:警察に行けば「非行」、病院へ行けば「行為障害」
「テレビで活躍されている精神科医の皆さんは、どうなんでしょう」「「人格障害」であるとか「行為傷害」であるとか、問診もしないで堂々と診断されるわけです。しかもそれが電波に乗って流れ、何千万の人が見る。そのことをどれだけ自覚しておられるのか。DSMのようなマニュアルがあって、そこにあてはめて判断しておられるのでしょうが、項目がチェックされるからといって、そんなに簡単に診断が下せるものなのか」
中井久夫「われわれは患者にラベルを貼るときには、外部にむかって医者が取る職業的態度ともいうべき『断言』を行いそうになるときは、われわれの内実を省みるべきではあるまいか」。
「通常の理解を超えた犯罪が起きたときマス・メディアがなにを求めているのかといいますと、メディアの側は絶対にはっきりと口にすることはしないでしょうが、精神科医の口から「●●障害」であるということを引出し、大急ぎで異常者の犯罪ということにして、安心したい、そういうことだと思うんですね。そしてメディアに出る過半数の精神科医も、それに易々と荷担する」。「犯罪現象だけをとらえDSMという分類マニュアルを用い、容疑者である少年に対してレッテル張りがなされていく。最近の町沢(静雄)さんなんか、町沢さんどうしたんだろう?と思うくらい本の中で「見込み診断」をされている。」「ぼくらが人前で言ったら、首が飛びますよ。それくらプライベートでデリケートなはずのことを平気で口にされている。」
■P.57:事実?統計?報道?:戦後の少年殺人の発生数と報道率との相関
近年、むしろ少年による殺人は減ってきている。「情報社会になればなるほど、むしろ例外的現象ほど大きなトピックになるところがあるでしょう。非行の話に戻れば、戦後の少年殺人の発生数と報道率との相関を調べたことがあります。」「ごらんのとおり、発生数が急減していくのに合わせて逆に報道率が上昇してゆくのですね。希少で特異な現象ほどニュースヴァリューが上がるからでしょう。」
■P.67:DSM-IV
「「正常-異常」の線引きに、安易に荷担しないでほしい」「DSMというのはすべてのディスオーダー(障害)をカタログ的に羅列した、ちょっと途方もないというか、そういう分類マニュアル」「正しくいうと臨床診断法ではなく、分類法です。」「もともと統計研究のためのもので、治療を直接めざした分類ではありません」「DSMの特徴のひとつは、原因分類はしないということでした。病院仮説や病理には基づかない。」「観察可能な症状だけで精神障害を形式的に分けましょうという原則です。」「DSMはアメリカなりの社会的事情に則して作られたもので、今後もかの地の社会的文脈的な要請に合わせて改訂が繰り返される性質のもの」
「専門家」という名のもとにラベリングされ、それが絶対であるかのように流布されていく。「こういうマニュアルがあり、とりあえず分類すれば」という前置き」。「ほとんど精神科医の方々は、まったくそのことには触れません。」「(厳密には「障害」ではない、人格障害(ただしくは、パーソナリティ・ディスオーダー)といった言葉を)テレビで発言される精神科医の方々はあまりに無自覚過ぎる」
P.88:「DSMの診断方式は大きく網をかけるには向いても厳密に絞り込むには向いていません」。これを統計上の分類に用いるのは不正確。
■精神鑑定について
「石田昇事件」による痛恨をかみしめて、わが国の精神鑑定は、病気のよるものは「治療に結びつけようという志向性の強いものになったと思いますね。理念としてそういうものとして始まったわけで、これからもそうあるべきでしょう。犯罪者を精神障害者として免罪しようとういものとは違います」
精神鑑定は乱用されていないか?―「弁護側がなにを目的として精神鑑定のやりなおしをもとめているのか、たんに駆引きの材料として精神鑑定が使われているだけではないか。」
■「病気による行為のほうが常識的で理解しやすい動機でなされるのですよ。」「いつもひどい嫌がらせを受けエスカレートするいっぽうなので、ついにたまりかねてという動機での殺害。動機そのものはわかりやすく合理的」。「ただ切迫した判断において認識の誤りがあること」
■「わが国でも法的な責任が問われないだけで、自由放免ではありません。」措置入院、その他の入院。「いわゆる野放し論には根拠がありません」
■「保安処分」への慎重論
池原毅和(弁護士)
「保安処分を作れば事件がなくなる。保安処分があればこういう事件が減るというのは、やや短絡的かと思う。もっと一般の精神障害者の、地域の医療にかかるときには医療との信頼関係を保てるような制度つくり、またいろいろな人が関わるバックアップを充実させるほうが先決。(TBS「ニュース23」)
■事件後2〜3日後の報道の特徴:被害者の文集や葬儀を中継、当日の速報のVTRと同様している被害者児童インタビューの繰り返し、現場に掲げられる花束によって、事件の悲惨さを強調。容疑者の生い立ちの暴露。
もちろんそれぞれ大切な情報かもしれない。でも事件の悲惨さは第三者にさえ、悲しすぎるぐらい十分解っている
→もっと必要な情報はないか?
→中と半端に精神科通院歴を持ち出すなら、いっそ精神科適用の病気がいかなる疾病なのか説明することに時間を割くべきではないか。狭義の精神病から、神経症、境界例、「性格の偏り」の違い。
←同じ脳の病気でも、脳梗塞などの脳卒中による障害者、脳神経外科適用での精神症状をはっした人への偏見はほとんど聞かない
←脳内伝達物質の代謝異常という側面の説明はほとんど啓蒙されていないように思われる
■6月10日朝日テレビスクープ21
□ 司会の鳥越キャスターが、番組最後に家族会からのファックスを読み上げたうえで、一般の精神障害者と今回の犯人を同一視してはいけないことをコメント。ただし最後の字幕のながれはじめる書けこみという印象も。他の特集のあとまわしになったせいと、出演コメンテーター(日精協の会長仙波恒雄会長)が番組慣れをしていないゆえの要領の悪さのせいもあると思われる(タレント精神科医師のわかったような短絡的説明も問題だが、出演なれしてない方のコメントのわかりづらさもこれはこれで短所かもしれない)。
「再犯防止のために」というコーナー名表示
□収録VTRの部分で気になったこと
福島章(上智大学名誉教授):抗精神病薬の副作用の説明→不正確かつ誤解を与えるのでは?
「10回分飲むと副作用が激しくなる。これはアカシジアの症状。不安が大きくなり、暴力・破壊したくなる症状」(字幕も同、ほぼそのまま引用)
→精神科医による一般書での説明:
「じっとしていられない、あるいは静座不能の症状」「抗精神病薬の副作用のなかで最も不快なものの一つであり、およそ全患者の25%に見られます。落ち着かない、イライラする、そして絶えず動いていなければいられないといった感覚が起こってきます。」「アカシジアは、薬を開始して三日以内に出現するので、一部の患者が服用継続を拒否する大きな理由にもなっています」(『分裂病がわかる本』(日本評論社)
□VTRを引継いで、番組出演者のコメントのコーナー
刑法39条にもとづく精神障害者の不起訴扱いの率の高さを、パネルで表示
今後どうしたらいいか?(私立病院で構成する日本精神病院協会の仙波氏)触法精神障害者の措置入院は、「医療に振りかかってくる」。「(処遇困難な患者を)ぽっと渡される」。(*ただし、今回の事件ではじめて出演が目立つようになったばかりの方なので、限られた時間のなかで民間病院が抱える困難を上手に表現できなかっただけかも?)
■6月10日フジテレビ系列「EZ!TV」の問題報道
□番組全体をとおして、森本毅郎(司会者)の感情的抑揚が、普段の温厚さからは信じられないくらい激しく、なにかとりつかれたようにまくしたてていた。コメンテーターの一人の精神科医が、制度や精神保健福祉がよってたつ背景を冷静に詳細に説明をしようと努めていた。しかし森本氏は、たえず強くまくし立て早口で遮る。森本氏の先入観なのか、番組制作側にその意図があってのシナリオなのか、少なくとも今回の事件がいかにも精神障害そのものの所以であるかのような方向に持っていこうという、報道あるいは番組司会の仕方としては、非常に疑問のある仕方。
□住信基礎研究所・主席研究員の伊藤洋一、比較的冒頭に森本氏にコメントを求められて:
「親御さんの気持ちになれば冗談じゃないよ!・・・・・殺人・放火に限ってみれば、精神障害者の犯罪は多いじゃないか。戦後日本は、人権人権といってきたけどなにか変えなければいけない」(抜粋)
□同じくご覧になっていたある方のコメント(地上の旅人(元)さんホームページの家族宛掲示板):「ひどいのは昨夜のフジテレビでした。(中略)森本氏が司会していたものですが、司会者がヒステリックだったうえに、唯一の専門家の精神科医に向かってまで(彼は何も精神障害者を擁護する発言をしていたわけでもないのに)感情的な物言いをしているうえ、出されたデータはおこった犯罪の約9%(引用者注、ママ)が精神障害者であるといった(正確でないかもしれませんが)ものでした。」
□子どもたちへのインタビュー、事件が起きた時の様子を詳細に聞いてあと、最後の記者の質問(VTRの)。
記者「何もっていた?」子ども、小さな声で「……庖丁」
■小学校殺人事件で精神病の話題がにぎやかですが、1996年9月、全国「精神病」者集団が国連人権規約委員会への報告書「日本における国際人権規約で保障された人権の精神障害者に対する侵害」に以下のような記述があります。この他にも、精神病院の他の患者や職員によって入院患者が殴り殺されるケースの報告など、精神病者に対する深刻な人権侵害の問題が書かれています。http://members.tripod.com/~ssko/home.htm
http://members.tripod.com/~ssko/9812.htm
日本における国際人権規約で保障された人権の精神障害者に対する侵害
一九条意見及び表現の自由
(精神障害者は言論の自由を持たない 参考資料二参照)
都道府県知事による強制入院の要件は、精神障害者であり、入院させなければ、精神障害のため自傷他害のおそれがあることである。
「他害」は他人の身体を傷つけることのみを意味するのではなく「他人の名誉を傷つけること」をも意味する(厚生大臣告示に記述されている)。
実際その例がある。一つは一九八〇年に静岡でおきた例で、警察がある人物を保健所に通報した。理由はその人がある精神病院の虐待を告発したビラをまいたからである。静岡県知事はこの人の精神鑑定を命令した。幸い精神鑑定の結果は強制入院は必要ないというものだった。
今一つの例は一九九六年に香川県でおきた。細川さんは精神病院の院長に通報され知事は彼の精神鑑定を命じた。細川さんは彼が入院していた精神病院の虐待を告発した。法務省人権擁護局は彼の訴えを受けこの病院を調査した。そして病院長は彼を通報した。理由は彼が病院の名誉を傷つけたというものである。幸い彼は強制入院をまぬがれた。
われわれ日本の精神障害者は言論の自由を持たない。
■【大阪児童殺傷事件】
「<飛び火しないように…> このような事件が起きると、「この手があったのか?」と思う人もでてくるのではないかと心配です。神戸児童連続殺傷事件の時も「飛び火」が起きてしまいました。この時には「年齢」がもっとも焦点にあたりました。しかし今回焦点があたるとすれば、「自殺願望」「自殺未遂常習」などのキ−ワ−ドでしょうか?」(中略)「このあたりが心配です。6月という季節柄、「自殺」がもっとも多い季節です。自殺しきれない人が他者に攻撃のタ−ゲットを移すという「発想の転換」が起きるのでしょうか?まさに、デュルケムのいう、アノミ−自殺のパタ−ンです。」「でも「飛び火」をしないためにはどうすればいいのか。やはり周囲との関係調整でしょう。そのためには専門家としてはカウンセラ−や精神保健衛生士(PSW)の仕事かもしれません。でも日常的に周囲の人が何ができるのかを考えないといけない。」
「<報道の問題> この事件では、容疑者が「実名」「顔写真付き」で報道されました。第一報などの初期報道では「匿名」「顔写真なし」で報道されていました。私は、容疑者が通院歴があることから、当然、匿名報道で行くのだろうと思っていました。しかし、夜中に朝日新聞のHPをチェックしてみると、実名報道に切り替わっていました。 朝刊にも「おことわり」と称して実名報道に切り替えた理由が掲載されています。それによれば「事件に至った経緯」「逮捕後の容疑者の供述」がその理由となっていますが、理由としては弱い気がします。どんな経緯であれば、あるいはどんな供述があったから、匿名から実名に変ったのかの説明が一切ありません。」「このような問題では比較的、匿名報道をしやすかった朝日新聞でさえ、明確な理由を読者に告げない報道基準は問題ではないかと思えます。きちんと、内部の報道基準と照らし合わせた結果を読者に伝えないといけないとは思います。原則をやぶるということはそういう説明責任があるということです。」
「<Hさんの見方> 「小学校児童殺傷事件のほんとうの防止対策は何か」大阪教育大池田小学校の児童殺傷事件で、一般の報道は、学校を安全な場所にせよと主張しているみたいです。こういうのを見ると、正直いって、うんざりする。いまでも、日本の子どもは管理されすぎてるのに、このうえ見張りだの、地域との連携なんてものを強化されたら、窒息しませんか?子どもがぞろぞろいて、見張りもない場所はほかにもある。コンビニ、塾・・どっちも、殺戮事件は起きてないじゃないですか。」
「 ある方の意見では、今度の犯人は死刑になりたくてあんなことをしたのだから、死刑制度を廃止したら、あんな事件も起こらなかったかもしれない。ここまではたぶんジョークで言ったのでしょうが、死刑が凶悪事件の防止に役立たなかったことを今回の事件が証明しているという、その人の指摘はジョークでは済みません。」
メールマガジン「てっちゃんニュ−ス」から抜粋
http://member.nifty.ne.jp/~sbtetuya