PTSD(心的外傷後ストレス障害)
| PTSDの症状について PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder)心的外傷後ストレス障害とは、障害や虐待、レイプや交通事故の被害者、殺人被害者の遺族、自然災害の被災者など、生命の危機にかかわるような体験が原因となって現れる精神的後遺症です。急性と慢性とにわけた場合、急性は事件発生直後から1週間ぐらい驚愕状態が続き、眠ろうとする深夜に不安になったり、悪夢を見たり、不眠症状になります。ほかにも、おびえる、外出できない、一人でいられないなどの症状が現れます。これらは一週間ほどで緩和に向かいます。慢性的とは長期間にわたって影響が残るものです。家族が庖丁を持っていると事件のことがフラッシュバックしたり、事件に関連することを耳にしたり、光の刺激を受けても恐怖を感じたりする場合があります。それに対する回避行動として、庖丁を持たない、事件と関わりのある場所に行けない、抑うつ状態の継続など、実生活に支障がでる場合があります。大勢の犯罪被害者の中で生き残ったり、子を失った遺族の場合は、「自分の代わりにあの子が死んだ、生きているのが申し訳ない」「変わりに私が死ぬべきだったのに、、、」などの自責の念に苛まれます。 PTSDの歴史 もともとアメリカにおいて、早くは第二時世界大戦に、そして、1970年代のベトナム戦争の帰還兵にその症状を示すものが多数報告されたことが、研究が進んだきっかけです。頭上をヘリコプターが通過しただけで体に震えを覚えたり、社会に適応できなくなったりするものが大勢でたことが社会問題になりました。ただし、個人的人格の問題が原因で会社でうまくいかないなど、問題をすり替える社会現象がないわけではありません。もちろん、深刻にPTSDに苛まれている人に対して、我慢や足りないなどと家族や周囲が責めたてるといった偏見も存在します。分裂病の場合は脳疾患としての側面が強いのですが、「心の病」としてのPTSDの場合も、それが心理作用の元である脳機能の固着している状態である以上、忍耐や精神力でどうにでもできるといった考えは通用しません。 その治療法は 精神疾患のなかでは、集団心理療法なども有力な治療法だと考えられています。同じ事件の被害者、同じ境遇に遭遇した経験を持つ者。グループになってその体験を語り合い、自分の症状を客観的に見ることができるよう、対象化の作業を行います。フラッシュバックがPTSDの疾患による現象だと認識する。その症状に悩んでいるのは自分だけでも特殊なことでもないと知り、孤独感を消え救いの糸口を見出せるようにします。エンプティチェアという治療法があり、犯罪で生き残ってPTSDを背負う人のなかに、命を奪われた者の代役を座らせて、その人物に語りかけて、「お別れの儀式」を行います。もちろん、医療に委ねるだけでなく、ご家族の方が本人の安心できる環境を用意すること、不安を訴える幼児ならば抱きしめてあげること、本人が言葉で訴えてくるときは耳を向けて真正面から受けとめてあげることも決して無駄ではありません。 |
★今回の大阪府池田市の小学校殺傷事件の被害者は、悲しくもまだ幼い子どもたちでした。現場に急行して現場の凄惨さを目にした救急隊員にさえ、その症状があるといいます。それだけに、医療や福祉によるケアと行政のバックアップが、これまで以上に綿密に、かつ継続して行われることを望みます。